・ジェネリックについてのおさらい
ジェネリック医薬品と言えば黒柳徹子さんのCM(東和薬品)が有名ですね(?)。
ジェネリック医薬品は特許の切れた薬品を後発の製薬会社が同じ製法で作った薬を指し、同じ製法であるから
- 薬効が同じで効き目も同じ
- 先発メーカー開発品だから、開発費をかけておらず安く売ることが可能
というメリットがあります(とされています)。
先発品と「同じ」?誤解されているジェネリック(JBpress)
沢井製薬のHPの説明を読むと、何ら問題がないように思えますが、そうでもない点もあるようです。
ジェネリック医薬品は新薬と同じ有効成分で作られ、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」にもとづくいろいろな厳しい基準や規制をクリアしたお薬。効き目や安全性が新薬と同じだと認められてから発売されます。開発にかかる期間が新薬と比べて短い分費用が安くて済むため、価格を安くすることができます。
現在、厚生労働省が中心となって、ジェネリック薬品の処方を推進する施策が採られています。病院では医師が処方箋を記入する際に「後発薬への変更可」という欄を設け、署名することで薬局でジェネリック薬品を選ぶことが可能になりました。
しかし、この欄が見向きもされないことが多いことから「後発薬への変更不可」と改め、どうしても先発薬にしなければいけない場合は署名が必要という工夫をしたり、一般名で処方した場合は診療報酬2点(20円)が加算できるようになりました(一般名とは処方する際に薬の有効成分名などを記載すること。たとえばバイアグラを処方する際にバイアグラとは記載せずに一般名のシルデナフィルを用いる)。
また、薬局では後発薬を調剤した割合に応じて報酬が5点から19点加算できます。
この背景には健康保険行政が破たん寸前なので、少しでも保険費用を減らしたい政府の意図があります。効果が同じで安いならそっちを選びなさいと。大多数の国民は3割の医療費負担です。残りの7割はもちろん健康保険から支払われるのですが、団体によって多少の違いはあれど私たちから集められるお金が財源です。
生活保護受給者は100%国費負担なので、撤回されましたがジェネリックを強制するという動きさえありました。
病院でもらう湿布とドラッグストアーで購入する湿布にどんな違いがあるのでしょうか?医師だけが処方できる成分を含む湿布がありますが、軽微なねんざなどはジェネリックでもいいのではないかと思います。
病院処方には初診料なども考慮しなければなりませんが、それでもドラッグストアで買うより安いでしょうし、こんなことをしていれば近い将来ドラッグストアで買いなさいということになるかもしれません。
・ジェネリックと特許問題
薬を開発すると物質特許(有効成分)、製法特許(製造方法)、用途特許/医薬特許(効能効果)、製剤特許(用法用量)の4種類の特許によって守られます。ここで、物質特許さえ切れてしまえば作り方や使い方に関する残りの特許を避けて同じ薬効がある物質で出来た薬(=ジェネリック薬)を作ることができます。
特許出願から通常20年間保護されるのですが、販売許可が下りないなどの特別なケースの場合は5年間延長される場合があります。インドでは2005年までは物質特許さえ認められていないので、インド発の安価なジェネリック薬品が出回っています。
安価で高品質な薬は国境なき医師団や発展途上国の医療を支えているという現状もあります。2006年以降、特許制度が作られましたが、それまで作られていた薬は適用外であり、またインドで特許を取ることは非常に困難なようです。
・ジェネリックの問題点
日本ではジェネリックがなかなか普及しません。大きな理由として医師の収入減と薬効が不安定な報告があったことが挙げられます。病院の収入は薬価の高い薬を処方すればするほどもうかる仕組みです。一方、薬効については健康に関することであるから前者の問題よりも厄介です。
特許には4つあって、成分特許さえ切れれば同じような薬を作ることが可能であるといいましたが、どう作るか、どのような形態で仕上げるか、どう飲ませるかに関わる残り3特許も重要です。たとえば、腸で効いてほしい薬のコーティング剤やその厚みが違うことで、胃で吸収されてしまい腸の病気が治らないという報告があります。
ジェネリック薬とはいえ日本においてはかなり厳重に検査されて初めて販売が許可されるのですが、安定性と生物学的同等性試験をクリアすれば製造許可が下ります(wikipediaより)。生物学的同等性試験とは投与後の血中濃度推移が先発品と統計的に同等であるかを試験しますがその誤差が15%と広くこれを問題視する専門家も少なくありません。
厚労省が発行したプレスリリースに詳しくあるのでこちらも参考にしてください。