遺伝子を解析すればその人の能力が予測できるのか

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遺伝子検査もいろいろある

遺伝子検査といっても医師の診断の補助として日本でも臨床検査会社によって一定の管理のもとに行われているものと、DeNA社の提供するMYCODEYahoo!の提供するHealthData LaboDHC社GeneQuest社や理研ジェネシス社などの1企業が独自の基準(倫理委員会などの設置)で行ってるサービスがあります。



前者はサービスを行う検査企業同士のつながりや加入する学会があり、検査項目は保険対象にもなっています。つまり、国の管理下にあるということですね。検査は主に病気が対象であり、治療の経過や治療薬の選定というような対象が限定的です。

一方、後者は健康保険対象というものではなく国の管理は行われていません。企業が独自に企画し、企業内の研究者や外部研究者による監修のもと検査項目を選定し、価格も数千円から数万円とバラバラです。



しかし、健康に関することに関しては影響が大きいので規制の方向へ向かうようです。

アメリカで話題の23andMeという遺伝子検査サービスを提供する企業に対してFDAが検査中止命令を出しました(米FDA 遺伝子検査会社に中止警告)。日本でも厚生労働省で審議会が開かれ議論が開始されています。

遺伝子検査サービスの問題点

遺伝子検査サービスは病気のリスクや体質、才能の検査といったものなど、医療機関以外で健康な消費者向けに直接行われているサービスであるがための問題点について、厚労省は次のように考えています。

1つ目は検査の質が確保されていないのではないか、精度管理の問題です。2つ目は科学的根拠が適切なのかという問題です。それから、就職や生命保険の加入時に差別を受けないかという問題があります。検査の結果が適切に伝わっているか。また、その後のフォローがなされているかといった種々の問題点が指摘されているところです。



各国の対応状況

諸外国ではどのような対応がなされているのでしょうか。

(1)アメリカの例

臨床検査室改善法という法律に基づいて、FDA等を中心に遺伝子検査であれば医療と非医療を分けることなく、同一の基準で一元的に規制をしているものと、遺伝差別禁止法を作って、保険や雇用に関する遺伝差別を禁止している。

(2)ドイツの例

人の遺伝子検査に関する法律により遺伝子検査の要件、保険と雇用における遺伝子情報に基づく差別の禁止を規定している。

(3)はフランスの例

生命倫理関連法において、消費者直販型の遺伝学的検査は医業に該当するということで禁止されている。
(4)韓国の例

生命倫理と安全に関する法律により、遺伝学的検査の質の保証、遺伝差別を禁止している。また、科学的根拠が不十分な遺伝子検査を禁止するとともに、制限される遺伝子検査についてはネガティブリストということで公表している。代表的な例としては、高脂血症や糖尿病、肥満などについては禁止している。

今後の厚生労働省としての対応方針(案)

医療以外の目的で実施される遺伝子検査であっても、実態として診断等の医療行為が行われる場合には、医療法・医師法等の規制を適用することになります。また、厚生労働科学特別研究を実施中で国内外の遺伝子検査の実態や海外における規制の状況等について調査を行い、課題の抽出及び整理を行い、調査の結果を踏まえて必要な対応を検討するようです。
主な調査内容

今まさに7つのポイントについて調査が行われているところのようです。調査終了に伴い規制が検討されることでしょう。

(1)遺伝学的検査の概要

(2)現在、国内において遺伝学的検査がどのような分野や領域で、利用又は実施されているか、それらに対してどのような規制が設けられているか等といった、国内の現状

(3)今後どのような分野・領域へ遺伝学的検査が広がることが予想されるか、またそれにより生じ得る課題は何であるか

(4)国外での実施状況や規制状況

(5)国内の現状から、どのような規制が必要か

(6)遺伝学的検査の分析的妥当性の評価のあり方も検討

(7)その他についても幅広に調べる

遺伝子が才能を左右するのか

遺伝子検査が話題になればなるほど、遺伝子と才能について興味がわきます。『遺伝子は運動能力にどれだけ影響するの?』というライフハッカーに掲載された翻訳記事があったのですが、それによれば遺伝子の一般人の日常生活に及ぼす影響はほぼ無いといいます。

世界クラスの競技者と張り合おうとは思わないでしょう。ですから、世界クラスの競技者でもない限り、遺伝は大した問題ではないのです。

身もふたもない話ですが、それは遺伝子の働きが複雑だからこれといった決定打が発見されていないためでしょう。

わかっているのは、遺伝子の役割が複雑だという事実です。身長を例にとって説明しましょう。2009年に科学誌『European Journal of Human Genetics』で発表された研究では、身長との関連性が判明している、計54個の遺伝子を分析して計算するよりも、両親の身長を測るほうが子どもの身長をより正確に予測できるとわかりました。

遺伝子検査会社が提供するサービスにある遺伝子については文献やその他情報からもう少し知見が蓄積されているのでしょうが、遺伝子検査の結果を鵜呑みにする段階ではないようですね。

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