山極勝三郎博士は世界で初めて人工がんをつくりあげた人であり、今では当たり前として認識されているタールが発ガン作用を示すことを実証した人。業績からしてダントツのノーベル賞候補だったにもかかわらず(1925年から4度も推薦されている)、今では否定されてしまっている同じ人工がん研究である寄生虫原因説に持っていかれてしまった。
これはノーベル賞の歴史に大きな汚点として残っている。
と、東洋経済に掲載された『がんの9割は正しい知識があれば予防できる』を読みながら大学の講義で学んだ山極博士のことを思い出した。
国立がん研究センターの予防研究グループが発表した「ガン発生とガン死の要因のうち、予防可能であったものの割合」によると、日本で発生したガンのうち、男性では半分以上(ガン発生の58%、ガン死の57%)、女性でも約3分の1(ガン発生の28%、ガン死の30%)が予防可能だったとされている。
例えば咽頭がんはタバコだけの影響によるものであれば、100%予防できる。
喫煙が肺ガンや喉頭ガンを引き起こすのは有名だが、これは吸う度に、喉や肺に負担がかかるからである。煙の負担がもっとも大きい喉のガンリスクが極端に上がることからもそれは明らかである。喫煙者の肺ガンリスクが非喫煙者の約4倍であることに対して、喉頭ガンは約30倍にものぼる。
そもそもがんは日常何らかの影響で発生しているが、体の基本的な修復機能によって除去される。それがまた偶然が重なることでガン細胞が暴走する、またはガン抑制遺伝子・細胞の働きが低下するといった状態になり、がん細胞が組織化して病気としての癌になる。
この何らかの影響がタバコだったり、過剰な塩分だったり精神的なストレス、冷え性、暴飲暴食、過度な飲酒、激しい運動、睡眠不足だったりするのでこのような状態にならないようにできるだけの努力が必要ということですね。また、家の雰囲気が悪いのもよくないようです。怒りっぽい性格は遺伝するなんていいますが、それは家風でもあるわけで、風向きを変えることで改善するかもしれません。