遅いのに早生まれ??早生まれと遅生まれの成長への影響

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年度で考えれば遅い生まれのはずが『早生まれ』とは??

タイトルの通り早生まれと遅生まれって逆なんじゃないの?と思う人もいるのではと思います。年度・学年で区切られている学校では、同学年(4月生まれ~翌年の3月生まれ)の中では1月~3月という遅い時期に生まれているのにどうしてでしょう。

これには昔(といっても60年ほど前)に用いられた数え年の制度(生まれたときに既に1歳で、1月1日に年齢が加算される)が影響しているようで、4月に入学する時点で、遅生まれの子供たちが8歳であるのに対して、早生まれの子供たちは7歳なので、1歳早く入学するということが早生まれのわかりやすい説明でしょうか。

誕生日とは別に数え年が用いられていた頃であればすんなりと分かったことも、現在のように満年齢があたりまえの社会ではなかなかわかりにくいですね。結局のところ、生まれてから入学するまでのタイミングの時系列よりも、年齢の時系列の方が一般的に頭に浮かびやすいので、なかなか理解しにくいのかもしれません。(生まれてから)早(い段階に入学する)生まれの子供たちと言った方がわかりやすいかもしれません。

早生まれと能力

日経新聞のページに早生まれの子供を持つ親が心配に思うのは各国共通の悩みという記事があったのですが、早生まれの子供を持つ親は遅生まれと比較して劣ってしまうのではないかと心配するようですね。

幼稚園や小学校低学年では1年の差は確かに大きいのかなと思いますが、私の友人を見る限り教授だったり医師だったり研究者をしている友達は軒並み早生まれ。湯川秀樹(1月23日), 江崎玲於奈(3月12日), 小泉純一郎(1月8日), 長嶋茂雄(2月20日), 中田英寿(1月22日), 松任谷由実(1月19日), 松田聖子(3月10日), 水木しげる(3月8日), 柳井正(2月7日), 三木谷浩史(3月11日)の各著名人も早生まれ。

『早生まれの中にも著名人になった人がいる』なのか『著名人には早生まれが多い』ではデータの集め方が違うけれども、中学高校へ行くころにはほとんど差がないんじゃないかなと個人的には思います。

しかし早生まれと遅生まれについては学問的な研究がされています。たとえば、外向性、協調性、知的好奇心、リーダー経験は遅生まれが、良識性、負けん気は早生まれに分がある(阿久津ら、2007年岩手大学)、スポーツ選手には遅生まれが多い(岡田ら、2004年鹿児島大学)、小中高校生で調査した結果どの時点でも遅生まれの方が早生まれよりも数学、理科、読解でポイントが高いという結果もあります(川口ら、2007年一橋大学)。

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(岡田らの調査結果を引用)

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(川口らの調査結果を引用)

子供の能力には何が影響するのか

子供、人間の能力を決めるのはいったい何なのでしょう。遺伝子と能力の関係については以前の記事で紹介した通り、よほどの高い領域で競い合うのでなければ関係なく、日々の努力が決定付けると紹介しました。したがって、生まれた時点では日常生活における能力差は無いともいえるのではないでしょうか。そうであれば、生まれてからの教育や環境が決定因子となるのでしょうか。

でも、そうとも言えないかもと思わせる事件があったので紹介すれば60年前の赤ちゃん取り違え事件では偽長男とその他3兄弟は成績も性格も違っていたそうですね。これはDNAのなせる業としか言いようがありません。しかし、取り違えられた結果、裕福な家庭で育てられることとなった男性も教育熱心な両親の元で大学を卒業し、安定した良い生活を手にすることができたわけです。つまり、教育と訓練で何とかなると言えるのは間違いないでしょう。

結局のところ早生まれ遅生まれはどんな影響が?

ここまでで、早生まれと遅生まれで性格や成績に違いがあることを紹介して来ましたが、血統・遺伝子がそれほど能力に影響しないのであれば取り巻く環境がそうさせているということでしょうか。力も自分より強く大きな遅生まれの子供たちの中で育つなかでの経験が影響しているのであれば、例えば1学年を半年ごとに分けてみると、また違った結果になるのかもしれませんね。

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